J-PARC大強度中性子源の液体水素循環システムの現状と大強度試験結果

Present status and test result of 1MW proton beam injection of liquid hydrogen circulation system of J-PARC high intensity neutron source.


麻生 智一, 勅使河原 誠, 武藤 秀生, 青栁 克弘, 高田 弘 (原子力機構)


Abstract:J-PARCの大強度中性子源では、ターゲットで発生した速中性子を液体水素減速材で冷中性子に冷却するために、液体水素循環系(1.5MPa、18K)とヘリウム冷凍機(6kW at 17K、1.6MPa、270g/s)から成る2元冷凍システムを2008年から運転している。2015年から運転中に生じたヘリウム冷凍機内の熱交換器と内部吸着器(ADS)の圧力損失上昇は、ヘリウムガス中の油分の局所的な蓄積が原因とし、2016年夏季に熱交換器のフロン洗浄とADSの交換によって冷凍機の性能が回復した。それ以降、圧力損失が増えることなく、今年には7月までの175日間の連続運転を行うことができた。油分が蓄積する現象の詳細は未だ不明のため、圧力損失のモニタを増やすとともに、局所的な油蓄積の対策を施す改良型ADSに可視化のモニタを設置する検討を進めている。また、J-PARCの陽子ビーム増強計画に従って、到達目標である1MWのビーム出力による大強度試験が7月に実施され、施設全体の健全性が確認された。液体水素循環システムにおいても初めて1MW入射時の負荷を受け、設計通りの運転動作確認を行い、大強度中性子源のための設備として利用者への安定した中性子供給が維持できる見通しを得た。