高強度Bi-2223コイルとREBCOコイルの熱暴走の振る舞いの顕著な差

Remarkable difference in thermal runaway behavior between a Ni-alloy reinforced Bi-2223 coil and a REBCO coil


末富 佑 (千葉大); 持田 寛希, 高尾 智明 (上智大); 柳澤 吉紀, 前田 秀明 (理研)


Abstract:高磁場・高電流密度のREBCOコイルでは、機械的な劣化に起因して熱暴走が起き、焼損する事例が多い。一方で、同様に高電流密度運転が可能なNi合金補強の高強度Bi-2223コイルでも、この補強線材の特徴である折れや座屈による劣化によって熱暴走が問題となる可能性があるが、その振る舞いは明らかになっていない。本報では,折れによる局所劣化を持つ高強度Bi-2223パンケーキコイルの77 Kでの熱暴走の振る舞いを観察し,既報のREBCOコイルと比較した。局所劣化を持つ類似の非含浸REBCOコイルでは劣化部位からの発熱量 5.4 W, 負荷率92 % (90 A)の時点で熱暴走したのに対し、非含浸Bi-2223コイルは発熱量28 W, 負荷率144 % (158 A)まで熱暴走に至らず,REBCOに対し、数倍大きな発熱に耐えた。この差の要因について,数値解析によって議論する。また,熱暴走に伴って生じる高強度Bi-2223コイル特有の劣化現象についても報告する。