高感度磁気センサとドローンを用いた磁気探査装置と信号源推定技術の開発

Magnetic survey system using high-sensitive vector magnetometers integrated on drone and source localization method


廿日出 好, 高橋 宙己, 國武 千輝, 増谷 夏輝 (近大)


Abstract:我々は、高温超伝導(HTS)SQUIDやフラックスゲート磁束計などの高感度磁気センサをドローンに搭載した磁気探査装置と信号源推定技術を開発している。本研究では、3軸ベクトルフラックスゲート磁束計を搭載したドローンにより、比較的狭い範囲の磁気探査装置を開発した。本装置では、3軸ベクトルフラックスゲートは15ビットADCを通じてArduinoで駆動、センサ出力の測定を行い、XBeeを通じた無線通信により、手元のPCにデータを転送した。ドローンにはPhantom4を使用し、これにマイコンとシールド、磁気センサを配置する冶具を3Dプリンタで作製して、素子・装置をドローンにインストールした。本装置で磁場分布を測定し、測定したデータに関して逆問題解析により信号源を推定する技術の開発を行ったが、環境磁場には地磁気が含まれており、信号源推定の際に背景ノイズとなる。そこで、センサは2個用意し、約400 mmのベースラインを有する軸型電子差分グラジオメータを構成した。本装置を用いて、装置の下側の検出センサと地面との距離が約500 mm、水平平面内の広さ1.5 m×1.5 mの範囲で、磁場成分Bx、By、Bzの分布計測を行った。なお、磁場源として、約250 mTの円形磁石2個を鋼柱の上下に貼り付け、3×3の配列を構成したものを用いた。上記装置により、磁場源が地面に設置された空間におけるxy平面での磁場分布を計測した結果、磁場源による磁気信号が含まれた3成分磁場分布を得ることができた。磁場源を単一磁気双極子と仮定した磁場分布の順問題解析による発生磁場分布のシミュレーションと、逆問題解析による磁場源の位置・磁気モーメント推定も行った。