重粒子線がん治療用回転ガントリーのための低温超電導電磁石の製作及び励磁試験結果

Manufacturing and excitation test results of the low-temperature superconducting magnets for the heavy ion rotating gantry


高山 茂貴, 高見 正平, 折笠 朝文, 長本 義史 (東芝); 岩田 佳之, 野田 耕司 (放医研); 尾花 哲浩 (NIFS); 荻津 透 (KEK); 雨宮 尚之 (京大)


Abstract:重粒子線(炭素イオン)によるがん治療は治療効果が高く、患者負担が軽いために近年普及が進んでいる。回転ガントリーとは粒子線を患者の周囲360度任意の角度から照射する事を可能にする装置で、正常細胞への線量を低減出来る事が特徴である。陽子線によるがん治療装置ではこの回転ガントリーが一般的に適用されているが、重粒子は陽子に比べ重たいために本装置が大型となってしまう。そのため回転ガントリーではなく一方向からのみ照射が可能な固定ポートが適用されている。そこで我々は回転ガントリーの小型・軽量化を目的に超電導電磁石の適用を検討してきた。この回転ガントリーはビーム制御の観点から5種類10台の超電導電磁石で構成され、各磁石を二極・四極機能結合型磁石とすることで小型化が実現されている。また、本磁石は回転に対応するために伝導冷却を採用した。これまでに超電導電磁石の設計、製造及び据付が完了しており、製造に際し冷却・励磁試験等を実施してきたため、その試験結果について報告する。