LHC高輝度アップグレード用超伝導磁石の開発(9)
ーコイル予備応力を増加させた2mモデル磁石のトレーニング特性

Development of superconducting magnets for LHC luminosity upgrade (9)
- Training performance of the 2m model magnet with increased coil pre-stress


菅野 未知央, 飯田 真久, 池本 由希子, 榎本 瞬, 大畠 洋克, 岡田 尚起, 岡田 竜太郎, 荻津 透, 川又 弘志, 木村 誠宏, 佐々木 憲一, 鈴木 研人, 高橋 直人, 田中 賢一, 中本 建志, 東 憲男 (KEK); MUSSO Andrea, TODESCO Ezio (CERN)


Abstract: CERN-LHC加速器の高輝度化アップグレード計画の一環として、KEKではビーム分離用大口径超伝導双極磁石(D1)の研究開発を進めている。この磁石の主な要求仕様は、コイル口径150 mm、運転温度1.9 K、運転電流12 kAで積分磁場35 Tm(主双極磁場5.6 T)などである。コイルはNb-Ti/Cuラザフォードケーブルを用いた単層構造である。磁石実機は7 m長であるが、現在、KEK所内で2 m長のモデル磁石開発を行っている。
 2015〜2016年に2 mモデル磁石1号機の製作し、冷却・励磁試験を実施したところ、トレーニングクエンチにおいて定格電流の105%を達成したものの、合格条件である108%には到達しなかった。励磁中のコイル予備応力測定から組み立て段階で与えるべきコイル周方向の予備応力が不足していることが確認され、これが不十分なトレーニング特性の原因と考えられた。そこで、1号機を一旦分解し、予備応力を増加させた後、再組み立てを行った。
 本発表では、このコイル予備応力を増加させた 2 mモデル磁石のトレーニング特性について報告する。