X線マイクロCTによる撚り線MgB2導体内のフィラメント構造の3次元局所解析

Three dimensional local analysis of filamentaly structures in stranded MgB2 conductor by use of X-ray Micro-CT


井上 昌睦, 東川 甲平 (九大); 葛 雅志, 安藤 憲之介, 水落 空, 高尾 智明 (上智大); 槇田 康博, 新冨 孝和 (KEK); 濱島 高太郎 (前川); 木須 隆暢 (九大)


Abstract:MgB2線材開発の進展とともに、大容量化のための撚り線導体の開発が重要な研究課題となる。撚り線加工時に、線材内のフィラメントにダメージを与えることなく、適切な集合導体化のための技術開発が必要となる。一般に、撚り線加工後の導体性能の評価は、導体全体の、もしくは各素線の臨界電流Icを四端子法で測定する手法が用いられるが、加工時の局所的な歪みに伴う、局在する欠陥の検知は、加工プロセスの最適化において重要な知見を与えるにもかかわらず、十分な評価手法は確立できていない。これは、一般的な構造観察手法であるSEMやTEMが基本的に2次元観察であることに起因している。我々は前回、30芯MgB2線材内部のフィラメント構造をX線マイクロCTにて評価し、線材の減面加工に伴うバリア材の破壊の存在を明らかとした。今回、フィラメントの撚線構造の3次元解析を行い、フィラメントの撚り線軌道の可視化、フィラメント毎の断面積の長手方向の統計分布の比較、さらに局所的な曲げ歪みに伴うバリア材の欠損の可視化を行ったので報告する。本手法によって、撚り線加工時の最適条件を検討するための重要な指針を得ることが可能となる。


謝辞:本研究は、JST先端的低炭素化技術開発(ALCA)「未来の水素利用社会を支える低コスト高性能MgB2線材の開発」の一環として行ったものである。