材料開発に向けた超高感度固体NMRプローブの開発
〜HTSを用いたRFコイルによる性能向上〜

Development of High-sensitive Solid-state NMR Probe for Materials Science: HTS RF Coil to Receive Weak NMR Signals


加藤 翔太, TRITRAKARN Techit (東工大); 高橋 雅人 (理研); 入江 晃太朗, 星 晴貴, 齊藤 敦 (山形大); 山田 和彦 (高知大); 岡村 哲至 (東工大)


Abstract:固体NMRは材料開発や生命科学の分野で用いられる分析装置である。他の分析装置では測定不可能なアモルファス状態についても、対象原子の結合状態を把握することが可能といった特徴がある。現状では実用材料の多くが四極子核で構成されており、実用材料中では四極子核のNMRスペクトルは非常に幅広となる。これにより、NMR信号強度が微弱となるため従来のNMR装置では測定が困難となる。そこで本研究では固体NMRプローブの超高感度化を目指して、HTSを用いたRFコイルをNMR信号の受信部に採用した。我々が開発したNMR極低温プローブに基板型のHTSコイルを設置し冷却を行った。ネットワークアナライザによって冷却したコイルの周波数特性を計測した結果、共振回路としての性能を表すQ値が同形状の銅コイルと比較して約50倍となった。これによりHTSコイルによって、感度に換算すると約7倍程度の性能向上が見込めることが明らかになった。