PIT法を用いた(Ba,Na)Fe2As2テープ線材の作製と臨界電流特性の評価

Fabrication and critical current properties of (Ba,Na)Fe2As2 PIT tapes


伊藤 笙子, 今井 翔太, 麻生 達也 (東京理科大); 石田 茂之, 土屋 佳則, 永崎 洋, 松崎 邦男, 吉田 良行 (産総研); 西尾 太一郎 (東京理科大)


Abstract:我々は、122系鉄系超伝導体(Ba,Na)Fe2As2および銀シースを用いてPITテープ線材を作製し、臨界電流特性を測定した。臨界電流密度は、4Tの磁場中で温度が4.2Kのとき3.7×104 A/cm2を記録し、本系は鉄系の線材の中で臨界電流密度が比較的高いことがわかった。また、線材の断面観察から、Ag合金がコア内部に分散して存在していることがわかった。このシース材と超伝導材料との反応で生じたAg合金は、(Sr,Na)Fe2As2を用いたテープ線材でも観測されており、Naを含む鉄系材料を用いた線材の特徴のようである。このAg合金は粒間結合を強化し、Jc向上に寄与している可能性もある。現在、加熱温度など作製条件の最適化により、さらなるJc向上にむけた研究を行っている。測定データの詳細およびJcとの相関が指摘されているコアのVickers硬度の測定などについては研究発表会において報告する。