J-PARC大強度中性子源の液体水素循環システム用ヘリウム冷凍機の性能劣化
- 性能回復への手がかりと今後の計画 -

Performance degradation of helium refrigerator for liquid hydrogen circulation system of J-PARC high intensity neutron source
- Key points to performance recover and future plan -


麻生 智一, 勅使河原 誠, 長谷川 勝一, 武藤 秀生, 青栁 克弘, 高田 弘, 池田 裕二郎 (原子力機構)


Abstract:ヘリウム冷凍機内の不純物や圧縮機からの油の蓄積量は、設計で許容される範囲であった。新たな知見として、内部吸着器の活性炭の飛散を防止するために設置したフェルトの表面に膜状に蓄積した油が観測され、それが内部吸着器での差圧の発生の要因になることを実験的に見出した。一般的に機器の配置関係から内部吸着器で発生した差圧が、熱交換器の性能劣化を引き起こすとは考えにくい。性能の回復を目論み、熱交換器の洗浄及び内部吸着器の交換を行った結果、総計約7ヶ月もの運転において、性能劣化に関わる圧力損失の増加は無く、安定に運転を継続可能とした。このことから、これらの機器が性能劣化の要因であることは判明したが、根本的な原因究明には至っていない。更に詳細に原因を探るため、差圧分布を詳細化する差圧計の増設等を施すなど、今後の根本対策に向けた検討を進める。
本件では、性能劣化に関わる原因究明の結果のまとめ、性能回復に至った事象等を鑑み、今後の対策について報告する。