YBCO 薄膜におけるナノ析出物による磁束ピン止め特性のサイズ効果(2)
—異方的スケール則とコアピン止め理論解析

Size effect of nanoprecipitates on the flux pinning properties of YBCO thin films (2)
Anistropic scaling and theoretical analyses based on core pinning interaction


山崎 裕文 (産総研); 山田 博 (大島商船高専)


Abstract:低温成膜 YBCO 薄膜では、ナノ析出物ピンがコヒーレンス長ξ(T) の2倍より小さいと言う条件がより広い温度・角度で成立するため、Jc の磁界角度依存性に基づくきれいなスケール挙動が 70 K 付近まで観測された。また、体積 V のナノ粒子の径が 2ξよりも小さい場合、要素的ピン止め力は fp = µ0VHc^2/2ξ(Hcは熱力学的臨界磁界)と表される。この式により、ξ(T) の大きな高温度では、低温成膜 YBCO 膜中のナノ粒子のサイズがより小さいことで、Jc が小さくなる。しかし、低温度ではナノ粒子のサイズが 2ξと同等になって体積効果が小さくなり、析出物濃度の大きな低温生成膜の方が Jc が高くなる。これで、前報のクロスオーバー現象を説明できる。かなり大きなナノ析出物を含むPLD法 YBCO 薄膜についても、同様の理論解析で Jc(T) のクロスオーバーを説明した。