Effect of heavy-ion irradiation on the critical current density of YBCO films in longitudinal magnetic field
岩永 泰弥, 甲斐 隆史, 溝口 剛史, 末吉 哲郎, 藤吉 孝則 (熊本大)
Abstract: 超伝導応用研究の一つに,縦磁場効果を利用した超伝導ケーブルがある.高温超伝導体へのイオン照射欠陥の導入は,試料作製過程とは独立に任意のピン止め点を系統的に導入することができるため,縦磁場下に臨界電流密度の改善に有効なピン止め構造を明らかにすることが出来る.
本研究では,YBCO薄膜に対して200MeVのXeイオンを異なる照射量で照射し,臨界電流密度に対する照射欠陥の影響について調べた.未照射試料では,0.2T付近で自己磁場での臨界電流密度より1.095倍高くなる縦磁場効果を確認できた.これに対し,マッチング磁場0.5Tに相当する照射量の試料では,自己磁場の臨界電流密度より1.048倍高くなるものの未照射試料より縦磁場効果は弱くなり,マッチング磁場1.0Tの試料では,さらに縦磁場効果は弱くなった.縦磁場下の磁束線に対しては,試料表面の遮蔽電流から膜厚方向すなわち柱状欠陥の長手方向にローレンツ力が作用するため,柱状欠陥は縦磁場下での臨界電流密度に対してあまり有効に作用しないことがわかった.