120 K付近の氷エレクトレットの脱分極電流特性

Depolarization current of ice electret around 120 K


大鹿 佳子, 土屋 雄大, 村本 裕二 (名城大)


Abstract:本研究室では、これまで氷を極低温における誘電・絶縁材料としての応用について検討してきた。本研究では、氷の誘電的性質に着目した。極低温では、強誘電性をもつ氷として氷XIが存在するが、作製は大変困難である。そこで著者らは、氷に直流電界を印加し、そのまま77 Kまで冷却することで、氷XIと同様に分極を保持した氷を作製した。このように電界を印加したまま冷却し、分極を保持させた物質をエレクトレットと呼ぶため、この氷を氷エレクトレットと呼ぶ。本報告では、印加電界(ポーリング電界)及び印加電界時間(ポーリング時間)を変化させ、電荷量に及ぼす影響を検討した。その結果、120 K付近と270 K付近で脱分極による電荷量が観測された。120 K付近の電荷量は、ポーリング電界に対して正の相関が得られたが、ポーリング時間に対して相関が得られなかった。今回は120 K付近で観測された電荷量について検討し、報告する。