超伝導デジタル回路向け冷凍機システムの構築

Cryocooled System for Superconductor Digital Circuits


藤巻 朗, 鈴木 雅斗, 伊藤 雄記, 田中 雅光 (名大)


Abstract:超伝導デジタル回路はその集積化が進み、数万個のジョセフソン接合からなる回路が、数十GHzで動作するようになってきている。その消費電力はわずか1 mW足らずである。一方、室温との信号の出し入れに用いるケーブルは、その太さや形状に関わらず、熱流入やジュール熱によって1本当たり数mWの低温での熱的負荷となる。超伝導デジタル機器の産業機器応用では冷凍機の使用が求められており、この熱流入とジュール熱の抑制が実用化の鍵を握る。ジュール熱の抑制については、接触抵抗が主な原因であることが分かっており、その場所の同定と対策を進めている。熱流入抑制については、50 Kステージと4 Kステージ間に、高温超伝導体を用い、微細加工によってコプレナー導波路構造を形成した。これにより、広帯域性を損なわず、熱流入を抑制することが可能となる。熱流入は用いている0.25 mm厚のYSZ基板を介して起こることから、より薄い基板を用いることで、ケーブル1本当たり1mW以下の熱流入とすることも可能となる。講演では、冷却実験などの結果について述べる。