高温超伝導SQUIDを用いた金属管のリモート非破壊検査手法の開発
-その3-

Development of remote NDE method for metallic pipes using HTS-SQUID
-No.3-


廿日出 好, 小林 奉樹, 中家 早紀, 増谷 夏輝 (近大)


Abstract:我々は,人がアクセスできない原子力発電所の配管のような構造物のリモート非破壊検査技術の開発を行っている.本研究では,超音波ガイド波と高温超伝導(HTS-)SQUIDを組み合わせた非破壊検査技術をアルミ管に適用し,発生・計測する超音波ガイド波の特性について調査した.超音波ガイド波の発生には磁歪式コイルを適用し,受信部には磁化したニッケル薄板を接着し,その上にHTS-SQUIDグラジオメータを設置した.サンプルは直径110 mm,厚さ3 mm,長さ1.5 mのアルミ管を用いた.送信部側コイルに0〜1 App,10〜100 kHz,1サイクルの正弦波バースト波電流を流して超音波ガイド波を発生させた.この際に受信部のSQUIDで計測されるガイド波由来の磁気信号の,入力電流強度,入力電流周波数,リフトオフ(センササンプル間距離),グラジオメータベースライン方向との関係等を調べた.この結果,磁気信号強度は入力電流強度に比例して増加した.また,周波数を増加させるに従い,磁気信号強度は緩やかに増加する傾向を示した.リフトオフの増加に伴い磁気信号強度は減衰したが,センサとサンプルを約20 mm離しても信号が計測された.グラジオメータのベースラインを0°(管軸水平)と90°(管軸垂直)に設定した場合,0°の方が約1桁大きな信号が得られ,発生する磁気信号は管軸と平行に発生・振動しており,発生しているガイド波はT(0,1)モードであると推定された.