磁界中磁気顕微法によるBi-2223多芯線材の磁化緩和特性評価

Investigation of Magnetic Relaxation Characteristics in Multi-filamentary Bi-2223 Tape Based on In-field Magnetic Microscopy


久島 宏平, MOHAN Shyam, 東川 甲平, 小野寺 優太, 鈴木 匠, 井上 昌睦, 木須 隆暢 (九大)


Abstract:DI-BSCCOに代表されるBi-2223線材は、安定製造と近年の機械的補強技術も相まって、マグネット応用への可能性が再注目されている。特に、マグネット応用では、磁界の空間均一性や時間安定性の観点から線材の磁化が問題となるが、Bi-2223線材はRE-123線材に比較して、磁化の減衰が早く、コイル外からのシムが効くなど、特長を有している。一方、本線材はマルチフィラメント構造を有しており、線材の磁化の振る舞いが、フィラメントの結合の状態によるものなのか、材料そのものの特性なのか、など不明な点が多く、今後のマグネット応用への定量的な反映にはその磁化緩和特性のメカニズムの解明が重要となる。そこで本研究では、一般的なマクロな磁気モーメントを取得する手法ではなく、磁気顕微法により空間情報まで取得することで、Bi-2223多芯線材の磁化緩和特性を評価した。その結果、フィラメントは常に結合しており、その磁化緩和特性は単純に材料の低電界領域における電流密度‐電界特性に支配されている可能性が高いことが分かった。また、磁化がほぼ消失する外部磁界は、パーコレーション遷移磁界にほぼ一致することが明らかとなった。