人工ピンを導入したYBa2Cu3Oy薄膜のマイクロ波表面抵抗の磁場依存性

Magnetic field dependence of surface resistance of YBa2Cu3Oy thin films with addition of artificial pins


高梨 直希, 近藤 雅也, 成田 克, 齊藤 敦, 中島 健介, 大嶋 重利 (山形大)


Abstract:YBa2Cu3Oy(YBCO)薄膜のマイクロ波表面抵抗(Rs)は、無磁場中では銅薄膜の1000分の1以下と小さく、フィルタやアンテナなどのマイクロ波デバイスとして使用されている。しかし、磁場が印加されると、Rsは急激に大きくなることが知られている。YBCO薄膜のRsは臨界電流密度(Jc)に反比例することが知られており、磁場中でのJc向上がRsの低減に必要である。我々は、磁場中のJc向上に有効な人工ピンをYBCO薄膜に導入し、磁場中Rsの低減を検討した。人工ピンとしては、BaHfO3(BHO)微粒子及びSiイオン注入による格子欠陥を選んだ。その結果、BHO添加およびSiイオン注入による人工ピンの導入は、磁場を基板面に垂直に印加した時のRs(Rs(90))低減に有効であることが明らかとなった。しかしながら、基板面に平行に磁場を印加した時のRs(Rs(0))は人工ピンを導入してもほとんど変化が無いことが明らかとなった。その原因を磁束量子の動き易さに起因していると考え、Rs(90),Rs(0)の磁場依存性の違いを議論した。