磁性シース材を有するMgB2線材における局所臨界電流分布の非破壊評価

Nondestructive Characterization of Local Critical Current Distribution in MgB2 Wire with Magnetic Sheath Material


鑪 海志, 東川 甲平, 井上 昌睦 (九大); 葉 術軍, 松本 明善, 熊倉 浩明 (NIMS); 木須 隆暢 (九大)


Abstract:MgB2線材のさらなる特性の向上には、特性低下部の位置を明らかにした上で、組織観察を行うことによる特性制限因子の解明が求められる。我々はこれまでに、磁気顕微法により、MgB2線材の局所臨界電流分布を評価できることを報告してきたが、鉄のような強磁性体がシース材に用いられている場合には、フィラメントからの信号を検出するために、試料を研磨する必要があった。そこで本研究では、磁性体の飽和領域の特性を利用することで、研磨などを行わずに非破壊に評価できる手法を開発した。これにより、しばしば磁性シース材として用いられるMgB2線材に関して、研磨によるダメージを心配せずに本質的な局所臨界電流分布が評価でき、最終的には製品の非破壊品質管理の基盤技術になることが期待される。

本研究は、JST先端的低炭素化技術開発(ALCA)「未来の水素利用社会を支える低コスト高性能MgB2線材の開発」の一環として行ったものである。