磁気力制御を用いたセシウム汚染土壌の減容化に関する研究
〜磁気分離条件の検討〜

Study on Volume Reduction of Cesium Contaminated Soil by Magnetic Separation
~Investigation of Magnetic Separation Conditions~


行松 和輝, 野村 直希, 三島 史人, 秋山 庸子, 西嶋 茂宏 (阪大)


Abstract:福島第一原子力発電所事故により,周辺地域では大量のセシウム汚染土壌が発生しており,その減容化技術が求められている.現在土壌に含まれる放射性核種の中で特に問題となっているのは137-Csである.
セシウムは土壌中の粒径の小さな粘土に多く吸着されており,常磁性体である2:1型粘土鉱物がセシウムを強固に吸着し,固定化することが知られている.これに対して,1:1型粘土鉱物は反磁性体であり,セシウムの吸着力が2:1型粘土鉱物に比べると弱い.これらのセシウム吸着特性と磁化率の違いを利用して,土壌分級後の粘土分に対して磁気分離法を適用し,高線量土壌成分である2:1型粘土鉱物の選択的な分離の可能性について検討した.
2:1型粘土鉱物のみで構成された模擬土壌では,7 Tの磁場を印加することで96 %と高い分離率を達成した.また実際の土壌を模擬した1:1型粘土鉱物と2:1型粘土鉱物から成る混合土壌について磁気分離実験を行い,92 %の2:1型粘土鉱物の選択的分離に成功した.これらの結果から,超電導磁石を利用した高磁場磁気分離法を用いた汚染土壌の減容化の可能性を議論する.