DIOS 衛星搭載に向けた積層配線 TES 型X線マイクロカロリメータの開発

Development of a large array of TES micro calorimeters using multilayer readout wiring for the X-ray astronomy satellite DIOS


黒丸 厳静, 山口 静哉, 宮崎 直人, 桑原 啓介, 加藤 優花, 大橋 隆哉, 石崎 欣尚, 江副 祐一郎, 山田 真也 (首都大); 満田 和久 (JAXA); 野田 博文 (理研); 日高 睦夫, 佐藤 哲郎 (産総研)


Abstract: 我々のグループでは2020年の打ち上げを目指し提案中の小型科学衛星 DIOS への搭載に向けた TES (Transition Edge Sensor) 型X線マイクロカロリメータアレイの開発を行っている。 TES カロリメータは金属の素子を 100 mK 程度まで冷却し、超伝導遷移端の急激な抵抗変化を用いることで高いエネルギー分解能を達成することができるX線検出器である。我々はこれまでに 16 ピクセルアレイ中の1素子について、5.9 keV の入射X線に対して 2.8 eV のエネルギー分解能 (FWHM) を達成した (Akamatsu et al. 2009 AICP)。さらに、1 cm 角に 256 ピクセルを配置したアレイ中の1素子について 4.4 eV を達成した (Ezoe et al. 2009 AICP)。
 DIOSミッションの要求では 1 cm 角の有効面積、具体的には 200 μm 角素子による 20×20 アレイが必要である。しかし、従来のデザインでアレイ化する場合では配線部分のデットスペースが多い上に、ピクセルを過度に密集させ配線の距離が近くなるとクロストークの影響が無視できなくなるという問題が生じることが分かった。この問題を解決するため、我々は積層配線と呼ばれる、素子までのホットとリターン配線を絶縁膜で挟んで上下に重ねるデザインを採用した (Ezoe et al. 2015 IEEE TAS など)。これによってデットスペースが減少し、1 cm 角内に 400 ピクセルの TES を配置することができる。
 本講演では上記の技術を用いた我々のTES型X線カロリメータについて、開発の現状を紹介する。