基板装飾法によるYBCO薄膜への人工ピン導入 - 磁場中での表面抵抗の低減を目指して ―

Introduction of artificial pins in the YBCO thin film by substrate decoration method-Aiming to reduce the surface resistance in a magnetic field-


市川 光, 吉田 雄平, 齊藤 敦, 大嶋 重利 (山形大)


Abstract:YBCO薄膜をNMR検出プローブ材に応用する場合、16テスラ以上の高磁場下で低表面抵抗(低Rs)を有することが必要である。特に、基板面に平行に磁場を印加したときに低Rsが要求される。そのために、人工ピンを導入することが有望であると思われ、幾つか報告例がある。しかしながら、微粒子を薄膜中に分散させるピン導入では、基板面に平行に磁場を印加した時に低Rs特性を示さない。それは、固有ピンとして働くYBCOのブロック層の周期を乱すためといわれている。我々は、ブロック層の周期を乱さないで、人工ピンを導入する手法として、基板装飾法を検討している。MgO基板上にBZOナノ粒子を装飾しその上に形成したYBCO薄膜は、基板面に平行及び垂直に磁場を印加した時のRsが、装飾しない基板上に形成したYBCO薄膜のRsより小さくなることを見出した。すなわち、基板装飾法で作製したYBCO薄膜はNMRプローブ材として有望であることが分かった。