KEKにおける超伝導加速空洞用2K冷却制御システムの開発

Development of the 2K cooling control system for the superconducting cavity in KEK


中西 功太, 小島 裕二, 仲井 浩孝, 原 和文, 細山 謙二, 本間 輝也 (KEK); 飯田 隆 (日立TS)


Abstract:KEKに建設された加速器施設であるSTF、cERLでは2Kに冷却されたニオブ製超伝導加速空洞が利用されている。共に、ヘリウム液化冷凍機としてTCF200を使用し、飽和超流動ヘリウムを用いた2K冷却システムにより空洞を冷却している。空洞を格納するクライオモジュールは液化窒素で冷却された80Kシールドと液化ヘリウムで冷却された5Kシールドを備えており、これらの冷却も2K冷却システムが制御する対象である。通常、5Kシールド、80Kシールドは冷却速度に制限が課せられないことが多いが、cERLでは80Kの系にセラミック製の機器が含まれるため、また、空洞を支える構造材が5Kシールドの冷却パイプを兼ねている構造のため、それらの割れや変形を防ぐために、それぞれ急激な温度変化や同一構造内での温度差が生じないように冷却を進める必要がある。これらの要求を満足する為に、2K,5K,80Kのそれぞれに設定された数点から数十点の測定点に対して、最大3K/hの冷却速度を守り、それぞれ系に2~3グループ設定された測定点群内の温度差が50Kを超えないように冷却を進めることが出来る制御システムを開発した。cERLで使用した液化機(TCF200)は老朽化しており、制御システムが動作しなかったため、これらも同制御システムに移植した。標準的なTCF200の制御ロジックでは圧縮機の出力が不足した場合に吐出圧を維持し吸入圧が上昇するが、回収ガスを圧縮機の吸入側に戻すためには吸入圧を安定化することが重要である。このため、吐出圧よりも吸入圧を維持する制御に変更する検討も進めている。これらのシステムはKEKで広く加速器制御に利用されているEPICSを用いて開発を行った。このことにより、加速器の制御システムと連携した制御を行うことが可能となった。