パルス抵抗加熱及び不活性ガス噴射冷却の研究
-Nb3Al線材の新製法に向けて-

Investigation of Pulsed Ohmic Resistive Heating and Inert Gas Jet Cooling
-Toward A New Process for Nb3Al Wires-


菊池 章弘, 飯嶋 安男 (NIMS)


Abstract:長年、我々が研究開発を進めている急熱急冷法Nb3Al線材では、0.3〜1m/秒で移動するNb/Al前駆体線材に対して、直流通電により約2,000℃まで抵抗加熱し、引き続きGa浴を通過させて急冷する。Ga浴の浴面は、線材移動の動きにより一定を保つことが難しい。さらに、Ga浴温度の上昇は熱膨張によりGa液面を上昇させるが、一方、Gaは線材に付着して巻き上げられるので、Ga浴面は低下する傾向がある。直接通電での熱処理制御にとって、通電間距離を一定に保つことが重要となるが、このような短周期のばらつきと長周期のばらつきを制御するのは至難の業である。さらに急熱急冷処理後の線材表面はGaで著しく汚染され、GaとNbの化合物が生成している。安定化銅を付与しなければならないが、電気的・熱的・機械的に強固な密着性を得るには、それらGa及びGa化合物を完全に除去しなければならず、非常に煩雑な作業を必要とする。先にLBNLのPickus等は、ヘリウムガス急冷するNb3Al線材の製法を提案した。1978年ごろのことであるが、当時は、Nb/Al単芯線を高温からヘリウムガス急冷すると、NbAl過飽和固溶体が生成したと報告している。しかし、その後に研究は中断され、詳細は不明のままになっている。そこで、我々は、Ga浴による急冷を不活性ガス噴射による急冷に置き換えることを目指し、Nb/Al拡散距離が短い最近のNbAl前駆体線材を用いて、パルス抵抗加熱及び不活性ガス噴射冷却の研究を行った。