Influence of size and spatial distribution of nanoparticles on hybrid flux pinning in YBCO thin films
浦口 雄世, 上瀧 哲也, 末永 桃太郎, 牧原 隆博, 末吉 哲郎, 藤吉 孝則 (熊本大)
Abstract:高温超伝導体の高臨界電流密度化において,1次元ピンと3次元ピンを組み合わせたハイブリッド磁束ピンニングが注目されている.本研究では,擬似 多層膜法により基板温度や層数を制御してBaSnO3ナノ粒子を3次元ピンとしてYBCO薄膜中に 分布させ,さらに重イオン照射により柱状欠陥を1次元ピンとして導入することで, ハイブリッド磁束ピンニングを構成した.これらの試料の臨界電流密度Jcに対し て,ナノ粒の粒径および空間分布の影響について調べた.低磁場では,c軸方向付近 のJcに粒径,空間分布の影響はほとんどないが,高磁場では,層数が多く,基板温 度の高い試料でc軸方向を中心に広い角度範囲で高いJcを示した.これは,試料に均一に分布した粒径の大きいナノ粒子ほど,柱状欠陥に捕われ ていない磁束線に対し,有効にピン止めしているためと考えられる.一方,ab面方 向においては,層数の多い試料においてはナノ粒子導入の効果はほとんど表れないのに対し,層数の少ない試料においては突出した高いJcのピークを示した.これは,ab面 方向に沿った磁束線に対しては,3次元的なナノ粒子の分布よりも,面状に分布した 方が有効にピン止めすることを示唆している.