低温焼成によるフッ素フリーMOD法YBCO配向膜の作製

Preparation of textured fluorine-free MOD YBCO films by applying low temperature sintering


元木 貴則 (東大); 下山 淳一 (青学大); 荻野 拓, 岸尾 光二 (東大); 本田 元気, 永石 竜起 (住友電工)


Abstract:フッ素フリーMOD法は原料にフッ素を含まない溶液を用いた化学的手法である。均質で平坦な表面を持つREBCO薄膜が短時間の焼成で得られることから工業化に適した手法であると言える。基板との反応や熱膨張率の違いによるクラックの発生を抑制するためには、できるだけ低温で配向膜が得られることが望ましい。これまでの研究から、原料溶液にClドープを行うことが配向度の改善および高Jc化に有効であることが明らかになっている。今回は原料溶液にClドープを行うことで、従来の成膜条件よりも約50°C低い740°C程度の低温焼成においても配向膜の作製が可能となることを報告する。また、Clドープによって配向が促進されるメカニズムに関しても考察する。