実時間デジタルシミュレータを用いたハードウェア閉ループ試験:系統事故時の過電流通電を想定した高温超伝導線材の過渡的挙動に関する考察

Hardware-in-the-loop Simulation Using Real-time Digital Simulator: Investigation of Transient Behavior in HTS Tape under Overcurrent Transportation at Fault in Power System


東川 甲平, 浦崎 祥悟, 井上 昌睦 (九大); 福本 祐介, 富田 優 (鉄道総研); 木須 隆暢 (九大)


Abstract:超伝導電力機器の信頼性の確保において、事故時の挙動の把握は最も重要な項目の一つである。通常このような過負荷試験の際には、系統事故によって想定される過電流をあらかじめ試算しておき、そのような電流パターンによる機器の試験が行われる。一方、機器側の過電流通電時のインピーダンスの急激な変化などは上記に反映されないため、系統と機器の相互作用を担保した上での試験手法が求められている。そこで本研究では、実時間デジタルシミュレータを用いたハードウェア閉ループ試験により、系統との相互作用を反映した上での超伝導線材の過電流通電時の過渡現象を評価した。過電流による抵抗の発生→温度上昇による抵抗の増大→増大した抵抗による事故電流の抑制→発熱の抑制による温度低下といった、従来の電流源を用いたスタンドアロンの試験では再現困難な現象も得られ、本手法によりさらに信頼性の高い試験とシミュレーションモデルの構築が可能になると期待できる。

 本研究の一部は、JSTの戦略的イノベーション創出推進プログラム(S-イノベ)「次世代鉄道システムを創る超伝導技術イノベーション」の支援によって行われたものである。