非絶縁REBCOソレノイドコイルに生じる長い励消磁磁遅れのメカニズム

Charge-discharge delay machanism of NI REBCO solenoid coil


末富 佑, 柳澤 杏子, 名和 雅人, 中込 秀樹, 李 晶, 齋藤 明子 (千葉大); 井口 聖威也, 高尾 智明 (上智大); 柳澤 吉紀, 前田 秀明 (理研)


Abstract:非(無)絶縁法は、現在のところ高電流密度のREBCOコイルを保護できる唯一の解である。本研究では、形状の同じ非絶縁のREBCOダブルパンケーキ巻コイルとREBCOレイヤー巻コイルを製作し、励磁遅れ時定数τを比較した。コイルの寸法は内径:約80 mm、高さ:約100 mm、自己インダクタンス:約1 mHである。驚くべきことに、レイヤー巻コイルのτはパンケーキ巻に比べて2000倍も長かった。両コイルを模擬した回路モデルにより、コイル内部の電流分布を調べたところ、パンケーキ巻コイルでは電流が均一に流れるのに対し、レイヤー巻コイルでは表皮効果により巻線部の表面に電流が集中し、これが電流拡散現象により内部に浸透していくために、コイルのサイズに応じて飛躍的に時定数が長くなることが明らかになった。すなわち、非絶縁法はパンケーキ巻コイルには有効であるが、レイヤー巻コイルでは使用できない。本研究の一部はJST S-イノベによって、一部はJSPS科研費26820107によって行われたものである。