高温超伝導SQUIDを用いた金属管のリモート非破壊検査手法の開発 -その1-

Development of remote NDE method for metallic pipes using HTS-SQUID –No.1-


廿日出 好, 小林 奉樹, 中家 早紀 (近大)


Abstract:原子力発電所など容易に人がアクセスできない場所の配管で生じる欠陥(割れや減肉)を検出することは現状では困難と考えられる。我々は,金属管に発生した振動は伝達され,管が磁性体の場合,振動伝達に伴い振動由来の磁場信号が発生することに着目し,この微弱磁場信号を超高感度磁気センサSQUIDで計測することで,金属管のリモート非破壊検査を行う手法の開発に着手した.センサとして冷凍機冷却したHTS-SQUIDグラジオメータを用い,直径50mm,厚さ2㎜,長さ2mのSUSのパイプの一端をハンマーで打撃し,発生するAE波を打撃部から1mおよび2m離れたパイプ上に設置したAEセンサで,AE波由来と考えられる磁気信号を打撃部から1.5m離れた場所に設置したSQUIDグラジオメータで計測した。この結果,2個のAEセンサによって約2000m/sの速度で伝達するAE波が計測され,その波形と類似した磁気信号がSQUIDにより計測された.SQUID出力における磁気信号の初波のタイミングが,AEセンサで計測したAE波形の初波と少しずれていたが,調査の結果,SQUID駆動回路の積分器による位相ずれの可能性が指摘された.以上より,SQUIDを用いることで管の振動由来の磁気信号をリモート計測できる可能性が示された.