電磁力による応力集中が引き起こす劣化(2) 〜接続部への応力集中とコイル最外層におけるエッジワイズ曲げによる座屈〜

Degradation caused by an electromagnetic force-induced stress concentration (2) ~ Stress concentration on a soldered joint and edgewise bend at the outermost layer ~


梶田 健太朗, 井口 聖威也, 高尾 智明 (上智大); 許 一, 名和 雅斗, 中込 秀樹 (千葉大); 濱田 衞 (JASTEC); 松本 真治, 西島 元 (NIMS); 末松 浩人 (JEOL RESONANCE); 柳澤 吉紀, 高橋 雅人, 前田 秀明 (理研)


Abstract:NMRなどの高磁場磁石のサイズをコンパクトにするためには、高い電流密度とフープ応力電磁力に耐え高磁場を発生させるHTSコイル技術が必要不可欠である。本研究では、REBCOコイル(レイヤー巻、内径40 mm 、高さ210 mm、総ターン数3706、パラフィンワックス含浸)とNi合金補強の高強度Bi-2223コイル(レイヤー巻、内径81 mm 、高さ125 mm、総ターン数4867 、パラフィンワックス含浸)を直列に接続し、NIMSの17 T LTS磁石のコールドボアに設置し、液体ヘリウム浸漬冷却下で高磁場発生試験を行った。LTSコイルにより17.2 T、HTSコイルにより11.0 Tを発生させ、中心磁場28.2 T(NMR周波数にして1.2 GHz)を発生させる予定であったが、REBCOコイルから予測より早く常伝導電圧が発生したため、中心磁場25.0 Tで消磁した。試験後、REBCOコイルについて電圧タップ診断と巻き戻しを行ったところ、電磁力による応力集中により、半田ジョイント部や最外層の線材の特性が劣化していたことが明らかになった。これまでREBCOコイルの劣化が熱応力で生じることは明らかであったが、本研究は、前報とともに電磁力による応力集中によりREBCOコイルの特性劣化が生じる現象を初めて示した。劣化のキーワードは応力集中と座屈である。本研究はJST S-イノベによって行われたものである。