Degradation caused by an electromagnetic force-induced stress concentration (1) ~ Buckling of a conductor due to inhomogeneity of the winding ~
松田 徹郎, 岡村 哲至 (東工大); 濱田 衞 (JASTEC); 松本 真治 (NIMS); 末松 浩人 (JEOL RESONANCE); 柳澤 吉紀, 前田 秀明 (理研)
Abstract:これまでREBCOコイルの劣化が熱応力で生じることを示してきた。今回、電磁力による線材の座屈でREBCOコイルの特性劣化が生じる現象を初めて示した。具体的には、ポリイミド電着REBCO線材でレイヤー巻コイル(内径80mm、高さ101mm、総ターン数151)を製作し、エポキシで真空含浸した(ポリイミド電着REBCO線材のコイルでは、エポキシ含侵しても冷却熱応力で劣化が生じないことがすでに明らかになっている)。コイルは77 K、4.2 K自己磁場においては健全な通電特性を示した。しかしながら、NIMSの17 T LTS磁石のコールドボアに設置し、外部磁場中で励磁したところ、設計値より低い電流で常伝導電圧が発生し熱暴走に至った。試験後、コイルを分解して内部の診断を行ったところ、巻線内へのエポキシの浸透が不均一であったために、電磁力の増加とともに巻線の座屈が進展し、これが原因で熱暴走が起きたことが明らかになった。含浸の不備自体は製作上の問題であるが、明らかとなった重要なポイントは、「巻線の拘束状態に不均一性がある状態で強い電磁力がかかることで、薄く剛性の低いREBCOテープ線材が容易に座屈を起こす」ということである。これまで、熱応力に起因する劣化に対し、多くの対策技術が確立されてきたが、今後、熱応力/電磁力への耐性を両立させる技術の開発が必要である。本研究の一部は、JST S-イノベによって行われたものである。