磁性シース材を有するMgB2線材の臨界電流値の非通電評価手法

Noncontact Characterization Method of Critical Current of MgB2 Wires with Magnetic Sheath Materials


東川 甲平, 井上 昌睦, 木須 隆暢 (九大); 松本 明善, 熊倉 浩明 (NIMS); SUMPTION Michael (Ohio State University); RINDFLEISCH Matthew, TOMSIC Michael (Hyper Tech Research, Incorporated)


Abstract:近年、内部Mg拡散法によるMgB2線材の特性向上が著しく、MRI等への応用が視野に入ってきている段階にある。一方、上記応用で重要となる数テスラ以下での臨界電流値はかなり高くなっており、四端子法では発熱や測定システムの制限から評価が困難となっている。また、近年の高特性線材には鉄やMonelといった磁性シース材が使用されており、一般的な磁化法による臨界電流値の定量評価も困難となっている。そこで本研究では、磁気顕微鏡を用い、磁化された線材周辺の磁界分布を取得し、それを定量的に表現できる臨界電流値を見つけ出すことで、MgB2線材の臨界電流値を非通電で評価できる手法を開発した。その結果、四端子法では臨界電流値が高すぎて測定が困難な高臨界電値(数百アンペアから千アンペア)を評価することに成功し、高磁界領域で報告されている四端子法による結果からの推測とよく一致することを確認した。 本研究は、JST先端的低炭素化技術開発(ALCA)「未来の水素利用社会を支える低コスト高性能MgB2線材の開発」の一環として行ったものである。