Cu-Zn母材内部拡散法Nb3Sn線材の作製

Internal diffusion processed Nb3Sn wires using Cu-Zn matrix


太刀川 恭治, 伴野 信哉 (NIMS); 宮本 泰男 (東海大)


Abstract:本研究では、機械的特性が改善された取扱い易いNb3Sn線材の開発を目指して新しくCu-Zn合金を母材に用いた内部拡散法について研究を行なった。なお、Cu-Sn-Zn合金によるブロンズ法Nb3Sn線材については、一昨年秋及び昨年秋の本学会で発表され開発が進んでいる。Cu-Zn内部拡散法線材では、Sn及びZn量が増加出来て有利であり、また加工も容易となる。本研究では,Cu-15wt%Zn合金を母材として中央にSn-2wt%Ti芯を置き、周囲に8本のNb芯を配置した複合体を作製した。この複合体は外径15mmから1mmまで焼鈍なしに良好に線引き出来た。Cu-Zn合金を用いると純Cu母材よりNb芯との複合加工性も向上する。この線材をSn拡散の予備熱処理を行なった後、Nb3Sn層生成の熱処理を行なった。その間の母材内のSn, ZnおよびTiの拡散挙動について詳細に研究した。生成されたNb3Sn層は、ブロンズ法線材よりSn量が多く化学量論組成に近くて、優れた超伝導特性が期待される。比較のため、純Cuを母材とした同じ構成の内部拡散法線材も作製してその組織を研究した。母材にZnを含むと熱処理時のNb3Sn層の生成が促進される傾向が見られた。当初の15wt%ZnはNb3Sn層生成後も均一に母材に分布している。本研究の結果、新しい型のNb3Sn線材を作製できる見通しが得られた。