高磁場MRI用高温超電導磁石の開発(1)
-プロジェクト概要-

Development of an HTS magnet for ultra-high field MRI
– Project overview -


戸坂 泰造, 宮﨑 寛史, 野村 俊自, 来栖 努 (東芝); 王 旭東, 石山 敦士 (早大); 浦山 慎一, 福山 秀直 (京大)


Abstract:H25年度より、経済産業省の高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクトとして、「高温超電導定磁場コイルシステムの研究開発」が始まった。その中で、高磁場MRIの実現を目指したテーマ「高磁場コイルシステムの研究開発」では、10 T級のヒト全身用MRIの実現を目指している。10T級に高磁場化すると、従来計測核種である水素に比べて圧倒的に量が少ない炭素、窒素、リン、酸素を高い信頼度で検出することが可能となり、癌の早期発見や、脳機能解析など、新しい医療診断に適用できることが期待される。また、高強度、高電流密度のY系線材を用いることで、低温超電導磁石と比べてコンパクトな磁石が実現できるとともに、超電導コイルを冷凍機で伝導冷却することによって、潜在的に枯渇リスクがあるヘリウムの使用量を劇的に低減することができる。
本発表では、高磁場MRIを目指した高温超電導磁石開発の概要と状況について報告する。