超高磁場LTS/REBCO NMR磁石のコイル保護技術確立に向けて; 非絶縁REBCOレイヤー巻きコイルにおける高速シングルターンモード伝播による熱暴走の自動収束

Self-healing from thermal runaway for an uninsulated layer-wound REBCO coils due to rapid single-turn mode propagation


柳澤 吉紀 (理研); 佐藤 耕太, 柳澤 杏子, 名和 雅斗, 中込 秀樹 (千葉大); 前田 秀明 (理研)


Abstract:非絶縁REBCOパンケーキコイルでは、熱暴走が起きると、通常時の「マルチターン」モードから、緊急時の「シングルターン」モードに転移し、熱暴走が自動収束することを、昨年秋の学会で報告した。我々は超高磁場NMR磁石の開発を進めているが、この種の磁石では、磁場均一度の観点から、レイヤー巻きコイルが必要となる。本研究では12ターン × 6層(総ターン数72ターン)の小型レイヤー巻きREBCOコイルを、絶縁・非絶縁方式でそれぞれ製作し、過電流による熱暴走試験を行った。非絶縁コイルでは、シングルターンモード転移がコイル上端部から始まり、これが下端部へ向けて高速伝播(>数十cm/s)することで、瞬時にコイル全体がシングターンモードへと転移し、熱暴走が収束する現象が見出された。この現象について、高電流密度で運転するレイヤー巻きコイルにおける保護手法の観点から議論する。