異種金属間摩擦攪拌接合の界面評価
-非破壊検査と破壊検査による検討-

Evaluation of Interface of Friction Stir Welding between Dissimilar Metals Using NDE methods and Tensile Test


廿日出 好, 吉田 圭佑, 鹿毛 孝浩, 鈴木 健文, 安井 利明, 福本 昌宏, 田中 三郎 (豊橋技科大)


Abstract:摩擦攪拌接合(Friction Stir Welling:FSW)は、融点の異なるアルミと鉄鋼などを高い強度を持たせて接合できる新しい溶接技術の一種である。今回、我々は、高温超伝導(HTS)SQUIDグラジオメータを用いた電流分布可視化技術を、アルミ・ステンレス突き合わせFSWサンプルに適用し、FSW界面の導電性を評価するとともに、超音波探傷による欠陥検査、引張試験による強度測定の結果と比較を行い、界面評価の可能性について検討した。サンプルとして、A6063-T6とSUS304の板材を突き合わせ、異種金属間FSWサンプルを作製した。この際、ツール回転速度と移動速度を1000〜4000rpm、200〜800mm/min.で変化させ、作製条件の異なるサンプルを作製した。サンプルのサイズは580mmL×50mmW×6mmTである。これらサンプルの両側面に電極を貼り付け、20mA、400Hzの交流電流を印加し、HTS-SQUIDグラジオメータをリフトオフ5mmに設定し、サンプル上面での磁場勾配分布dBz/dyとdBz/dxを測定した。この際、サンプルが加工により最大約140μTの残留磁化を有していたため、アクティブ磁気シールド技術を適用し、サンプル表面から5㎜の距離までHTS-SQUIDグラジオメータを接近して測定できるようにした。サンプル上面の磁場勾配分布dBz/dyとdBz/dxをそれぞれ電流密度分布Jx、Jyに変換し、サンプル内部の電流分布を可視化したところ、同一条件で作製したFSW界面においても、電流の流れやすい部分と流れにくい部分が存在することが示された。上記サンプルに超音波探傷試験装置を用いて、浸水式超音波探傷試験を行ったところ、FSW界面付近にボイド等の欠陥が存在することが示され、超音波試験が示す欠陥の大きさと、SQUIDで検出した電流の流れやすい場所に一部相関がある可能性が示された。また、電流が流れやすい場所と流れにくい場所のサンプルを切り出し、引張試験を行った結果、電流が流れやすい場所のサンプルの引張応力が高く、流れにくい場所の応力が低い傾向を示す結果が得られ、SQUID非破壊検査によるFSW界面評価の可能性が示された。