ローレンツ力を利用した海水・油分離装置内の海水流れと流路断面形状に関する研究

The relation between the seawater flow and cross-section shape of channel of Lorentz-Force-type seawater-oil separator


赤澤 輝彦, 岩田 祐樹, 永友 勇気, 岩本 雄二, 梅田 民樹 (神戸大)


Abstract:本研究で対象とするローレンツ力型油分離装置の原理を述べる.海水に直交電磁場をかけると,ローレンツ力により,海水中のイオン濃度に偏りが生じる.この偏りに よって,海水には新たな圧力勾配(ローレンツ体積力)が生じる.一方,油は不導体であるためローレンツ力が作用せず,海水に作用するローレンツ体積力の反作用を受ける.すなわち,海水に働くローレンツ体積力を利用し,海水と油を分離する. 分離装置内の海水流れは分離性能を大きく左右するパラメータである.しかしながら,装置内の海水流れに関して最適条件は明らかに出来ていない.
本研究では,流路ダクトの形状と装置内の海水流れの関係に着目し研究を行った.流路断面積が同じで,異なる四角形の流路断面形状の分離装置を複数作製した.これらの装置を用いて,流入海水流速,印加磁場,通電電流を変化させ,断面形状に起因した海水流れの違いを,装置から排出される海水の偏り現象から調べた.また,数値実験により,断面積の異なる流路内の海水の流れをシミュレーションした.講演では,これらの実験およびシミュレーションの比較から,分離装置内部の海水流れを考察し,分離装置の最適な流路断面形状について提案する予定である.