核融合炉用超電導磁石絶縁材料の照射効果に関する研究

Study of Irradiation Effect on Insulation Material for Superconducting Magnet of Nuclear Fusion Reactor


髙橋 知寛, 三島 史人, 秋山 庸子, 西嶋 茂宏 (阪大)


Abstract: ITERのトロイダル磁場(TF)コイルでは,有機高分子をマトリックスとした絶縁材料が用いられるが,有機高分子材料は放射線感受性が高く,核融合反応由来の中性子線やγ線により劣化する.TFコイルに照射される1×1022 n/m2(0.1 MeV以上)の高速中性子に耐えうる絶縁材料の開発が必要である.
 TFコイルの絶縁材料はガラスクロスとポリイミドフィルムを積層し,隙間を高分子材料で含浸させた複合積層材料であるが,一般的に層間せん断強度(ILSS)が低い.ITERの場合,45MPaのせん断応力に耐えるだけの強度が必要である.複合材料のILSSを評価する際,主に用いられる試験方法にはショートビーム法と目違い切欠き試験片を用いた試験法があるが,これらは正確なILSSを導出しているとは言い難いのが現状である.目違い切欠き試験片では特に切欠き端部の応力集中が問題となるが,応力集中を完全になくすことは困難である.そこで本研究では有限要素法を用いて試験片の応力解析を行い,より信頼性の高い試験条件を検討した.

 本研究で用いたガラスクロスやポリイミドフィルム,樹脂は株式会社有沢製作所からご提供いただきました。また,本研究の一部は自然科学研究機構核融合科学研究所の「NIFS 一般共同研究プログラム(NIFS13KERA008)」の助成を得て実施いたしました.この場を借りてお礼申し上げます。