1 GHzを上回る超高磁場・コンパクトNMR磁石の実現に向けて(4)
〜小型1.2 GHz NMR磁石の基本設計と磁場補正技術〜

Toward a super-high field compact NMR magnet operated beyond 1 GHz (4)
- Design of a 1.2 GHz NMR magnet and field correction technology -


井口 聖威也, 梶田 健太朗 (上智大); 朴 任中 (千葉大); 柳澤 吉紀 (理研); 濱田 衞 (JASTEC); 高尾 智明 (上智大); 中込 秀樹 (千葉大); 松本 真治 (NIMS); 末松 浩人 (JEOL RESONANCE); 金 新哲, 高橋 雅人, 前田 秀明 (理研)


Abstract:1 GHz (23.5 T)の磁場を超える小型のNMR磁石を実現するには、引張強度の高いREBCO線材と高強度Bi-2223線材が候補となる。均一・安定磁場発生の観点からは、遮蔽電流磁場の小さい高強度Bi-2223線材が望ましい。しかしながら、1.2 GHz NMR磁石などの超高磁場・コンパクトNMR磁石においては、高温超伝導コイルのレイヤー数(すなわち巻厚)が400-500 MHz磁石の場合と比べ、数倍以上になるため、Bi-2223コイルを用いた場合でも、遮蔽電流磁場が磁場補正に与える影響が顕著になる可能性がある。本報ではこれまでのコイル基礎試験と磁石開発(500 MHz LTS/Bi2223 NMR磁石、400 MHz LTS/REBCO NMR磁石(1号機および2号機))で得た実験結果をもとに、高温超伝導コイルの巻厚や負荷率などが超伝導シムコイルや補正コイルの能力に与える影響を明確にし、1.2 GHz NMR磁石の基本的な設計と磁場補正技術について述べる。本研究は(独)科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「戦略的イノベーション創出推進プログラム」(S-イノベ)の支援によって行われた。