超電導磁気分離法による火力発電所給水中の酸化鉄スケール除去に関する研究

Removal of iron oxide scale using superconducting magnetic separation from feed-water in thermal plant


水野 信洋, 三島 史人, 秋山 庸子, 西嶋 茂宏 (阪大); 松浦 英樹, 前田 龍己, 重本 直也 (四国総合研); 岡田 秀彦, 廣田 憲之 (NIMS)


Abstract:近年、火力発電の稼働率の増加により、CO2排出量も増加している。その対策として、火力発電所の熱交換効率の改善による、発電量あたりのCO2排出量の削減が求められている。本研究では、熱交換効率低下の原因の一つである配管やボイラーで析出する鉄系のスケールの除去を目的としている。AVT(全揮発性処理)を行っている火力発電所において、スケールは復水器周辺の低温部では常磁性の微粒子であり、総量も少ないため、効率的な除去が困難である。一方で、ボイラーなどの高温部のスケールは強磁性であり粒径も大きく、総量も多いため、効率的な磁気分離を行うことができる。本研究では給水系の高温部に超電導磁石を用いた高勾配磁気分離装置を設置することを想定し、ソレノイド超電導磁石を用いて高温高圧条件で高勾配磁気分離を行い、高温高圧の流体における高勾配磁気分離が可能であることが示された。この結果を基に、超電導磁石によるスケール除去のための磁気分離システムの検討を行ったので報告する。

本研究の一部は科学技術振興機構(JST)の先端的低炭素化技術開発(ALCA)の「磁気分離法による発電所ボイラー給水中の酸化鉄除去」の助成を受けて実施された。