Effect of columnar defect with splay plane parallel to current direction on flux pinning properties in GdBCO coated conductors
古木 裕一, 末吉 哲郎, 甲斐 隆史, 岩永 泰弥, 藤吉 孝則 （熊本大）
Abstract:高温超伝導体の臨界電流密度Jcの磁場角度依存性に対する交差した１次元ピンの影響を明らかにするための研究の一つとして，今回GdBCOコート線材に電流方向に平行な交差面で柱状欠陥を導入し，臨界電流密度Jcの磁場角度依存性に対する影響について調べた．c軸に対して±15°で交差した柱状欠陥を導入した試料では，c軸方向で急唆に立ち上がる単一のJcのピークが見られた．交差角を±45°に広げると，c軸を中心として，広範囲の磁場方向でJcが増加するようなピークが観察された．一方，更に交差角を広げた±75°では，c軸方向にJcのピークは出現しないが，広範囲の磁場方向でJcが改善され，フラットに近いJcの磁場角度依存性となった．以上は次のように考えられる．(1) c軸方向に磁場をかけた場合は，柱状欠陥の交差面が2次元ピンとして働くが，交差角が広すぎると2次元ピンとしては作用しない．(2) 磁場をc軸から傾けると，交差した柱状欠陥の交差点が点欠陥として作用し，交差角が大きいほどこの効果は大きくなる．
本研究の一部は，日本原子力研究開発機構の施設供用制度にて行った．