理研RIBFにおけるHTc-SQUIDビーム電流モニターの実用化

Practical Application of High-Tc SQUID Beam Current Monitor at the RIBF


渡邉 環, 福西 暢尚, 加瀬 昌之 (理研); 稲森 聡, 今 康一 (ティーイーピー)


Abstract: 理研仁科加速器研究センターにおいて、現在稼働中のRI ビームファクトリー(RIBF)では、重イオンビームのDC電流を、非破壊で高感度に測定するために、高温超伝導SQUIDを応用した、ビーム電流モニターの開発を行ってきた。本研究では、臨界温度の高い高温超電導体を用い、冷凍機によって冷却を行っているため、装置はコンパクトになり、ランニングコストの大幅な低減が可能となる。ビーム電流を検出する高温超電導電流センサーの製作においては、塗布装置の製作等により、製作技術のノウハウを確立してきた。尚、高温超電導のサンプルを用い、臨界温度、臨界電流の測定、X線による結晶構造の解析等、基礎的なデータも取得している。また、磁気シールドに関しては、ミューメタル材を用いたSQUID冷却フォルダーの開発、ノイズキャンセラの導入等、大幅な強化を行った。実用機として使用するため、既存のSQUIDモニタープロトタイプを解体し、上記の改良を加えた装置と交換し、再組立て作業の終了後、加速器施設のビームラインにインストールした。現在、サイクロトロンで加速されたウランビームの電流測定とビーム物理に関する解析を鋭意進めている。今回の学会においては、これまでの開発経緯とビームの測定結果について報告をする。