FF-MOD法Y123薄膜のピンニング特性に及ぼす塩素ドープ効果

Effect of chlorine doping on flux pinning properties of FF-MOD Y123 thin films


元木 貴則, 下山 淳一, 山本 明保, 荻野 拓, 岸尾 光二 (東大)


Abstract:フッ素フリーMOD(FF-MOD)法によるRE123薄膜の作製は原料にフッ素を用いないため環境負荷が小さく、また、成膜速度が早く低コストであることから工業化に適している。しかし、TFA-MOD法など他の手法に比べ、有効なピンニングセンターが導入できておらず、磁場中で高いJcを示す薄膜が得られていない。本研究ではFF-MOD法Y123薄膜の作製において原料溶液に微量の塩酸を加えることによって新規ピンニングセンターの導入を試み、焼成条件を最適化したところ、c軸配向したBa2Cu3O4Cl2相がY123のエピタキシャル成長を妨げずに析出することを見出した。この析出物を含む薄膜は磁場中でのJcが高く、明らかにピンニング力が向上した。講演では、塩素ドープY123薄膜の微細組織および磁場中のJc特性改善について報告する。