微細なY123粉末を原料とした高臨界電流特性Y123焼結体の開発

Development of Y123 sintered bulks with high critical current properties using fine Y123 starting powder


下山 淳一, 廣田 哲也 (東大); 今 康一, 市川 直樹, 稲森 聡, 内藤 恭吾 (ティーイーピー)


Abstract:我々は高品質のRE123粉末の製造を行っており、これを用いたRE123焼結体の熱処理条件と微細組織および超伝導特性の関係を調べている。最近、あらかじめ固相反応法によって作製したY123をボールミルにより粉砕した微細な粉末を用いた場合、焼結が従来の温度よりかなり低い850~860℃で進行することを見出した。さらに、焼結後に適切な条件の還元ポストアニールを加えることによって、最終的な酸素アニール後の臨界電流特性が大きく改善することがわかった。これまでのところ、残留磁化法で評価した20 K、77 KのJcはそれぞれ2600 A/cm2、500 A/cm2に達しており、通電法で調べた90 kOe下での不可逆温度は66 Kまで上昇した。これらの値は無配向でかつ焼結密度が70 %弱のY123焼結体としては極めて高い値であり、焼結条件の最適化による高密度化や配向組織の形成によってY123焼結体の臨界電流特性がさらなる向上が期待できる。