成膜温度によるBaHfO3添加SmBa2Cu3Oy薄膜の磁束ピンニング特性の制御

Control of the flux pinning properties on BaHfO3-doped SmBa2Cu3Oy films by changing deposition temperature


鶴田 彰宏, 吉田 隆, 一野 祐亮 (名大); 一瀬 中 (電中研); 松本 要 (九工大); 淡路 智 (東北大)


Abstract: 本報告では、近年注目されているBaHfO3(BHO)を添加したREBCO薄膜中におけるBHOナノロッドの形状及び磁束ピンニング特性の成膜温度依存性を明らかにすることを目的とした。BHO添加SmBa2Cu3Oy薄膜はターゲット交換法を用いてPLD法により、単結晶LaAlO3基板上に作製し、その微細構造及び超伝導特性を評価した。作製した全ての試料のBHO添加量は3.7 vol.%に固定し、成膜温度を880 ~ 960˚Cの間で変化させた。
 TEMによる微細構造観察から、導入されたBHOナノロッドは成膜温度の増加と共に、直径が大きくなり数密度が減少した。さらに、960 ˚Cで作製した試料では、ナノロッドが基板表面から薄膜表面まで途切れることなく直線的かつ概ねSmBCOのc軸方向に対して平行に成長していたのに対し、880 ˚Cで作製した試料では、膜厚に対して短いナノロッドがSmBCOのc軸方向から傾いて導入されていることが確認された。また、上記のナノロッドの形状変化に依存し、各薄膜の磁束ピンニング特性は、高温成膜ほどc軸相関性が強く現れた。