ポインチングベクトル法による超伝導変圧器の運転モニタリングシステムの開発 6
−常伝導転移の観測−

Development of a Monitoring System of Superconducting Transformer by Using Poynting’s Vector Method 6 – Detection of normal transitions -


樋渡 裕紀, 溝上 竜馬, 川越 明史 (鹿児島大); 江口 徹 (九州電力)


Abstract:超伝導変圧器の実用化には,運転中に巻線の健全性を常時監視するためのシステムの開発が必要である。高温超伝導機器は,運転温度が高く比熱が高いために,安定性が高いことが期待されている。しかしながら,一旦常電導領域が発生すると,その領域が広がりにくく,その場所の温度だけが上昇する「ホットスポット」が発生する可能性があり,最悪の場合巻線が焼損する危険性がある。そこで我々は,ポインチングベクトル法を応用した超伝導変圧器の運転モニタリングシステムを提案している。このシステムは,ピックアップコイル対を室温空間に配置した非接触型のシステムである。我々はこれまでに,巻線に局所的な異常を発生させ,その異常を本システムによって検出できることを実証している。しかしながら,実際の運転時には測定された信号から異常の程度を推測する必要がある。そこで今回は,本測定法で観測される信号から異常の程度を推測することを目的として,異常発生箇所の温度を変化させ,その時の巻線の温度分布と超伝導変圧器周辺のエネルギーフローを測定した。