PLD法で作製された200 m長商用コート線材の面内臨界電流密度分布

In-plane Distribution of Local Critical Current Density in 200-meter-long Commercial Coated Conductor Fabricated by PLD Process


片平 健太, 東川 甲平, 井上 昌睦, 木須 隆暢 (九大); 吉積 正晃, 和泉 輝郎, 塩原 融 (SRL)


Abstract:希土類系高温超電導線材(RE-123コート線材)の機器応用に際しては、局所特性低下部における発熱集中による焼損事故も懸念されることから、均一性の確保が重要な課題となっている。そこで本研究では、既に販売が開始されている商用コート線材の均一性を把握すべく、PLD法によって作製された200 m長の線材を購入し、リール式走査型ホール素子顕微鏡(RTR-SHPM)によって面内臨界電流密度の評価を行った。その結果、200 mという長さにわたって極めて良好な均一性を確認するとともに、線材幅方向の片側に特徴的なゆらぎを観測した。このゆらぎは基板に起因するものと考えられ、線材幅方向の反対側では顕著なゆらぎが見られないことからも、超電導層の成膜法としてのPLD法は、高均一線材の実現に高いポテンシャルを有していることが示唆された。以上のように、通常行われるTAPESTARTMによる一次元的な空間情報のみからは把握困難な二次元的な特徴を把握することができ、機器への適用や線材作製プロセスへのフィードバックに有用な情報を得ることができた。

 本研究は、イットリウム系超電導電力機器技術開発の一環としてISTECを通じてNEDOからの委託を受けて実施するとともに、日本学術振興会の科研費(24360122)の支援を得て行ったものである。