Challenges for rare-earth-free superconducting coated conductors by fabricating superconducting Sr2CuO4-d thin films
一野 祐亮, 山垣 陵太, 杉原 和樹, 吉田 隆 （名大）
Abstract:90 K以上のTcを持ち、磁場中で高いJcを示すREBCOコーテッドコンダクターは実用化に向けて機器応用の段階まで開発が進んでいる。しかし、希少なレアアース元素を含むため、元素戦略を考慮した超伝導線材についても検討を進める必要があると考えられる。
そこで、我々はAE2CuO4-d (AECO、AE:アルカリ土類)に着目した。高圧合成されたAECO バルクは90 Kを越えるTcを持つことが報告されている。また、MBE法で作製したAECO (AE=Sr, SCO)エピタキシャル薄膜はオゾンアニールによってオンセットTcが70 K程度の試料が作製されている。本報告では、PLD法を用いてSCOエピタキシャル薄膜を作製し、その超伝導化に関する検討を行った。様々な酸素圧力、基板温度条件下でSCO薄膜の作製を行ったが、十分高い基板温度下であればエピタキシャル成長したSCO薄膜が得られることが分かった。しかし、As-deposited状態では絶縁体であり、20メガオームを越えるテスター抵抗であった。高圧合成バルクと比べて格子定数が長いことから、酸素が不十分であることが予想される。そこで、酸素、オゾン気流中や酸化剤に埋設した状態での熱処理を行い、SCO薄膜中への酸素導入を試みたが、現状では超伝導転移する試料は得られていない。