異なる液相組成で作製したVLS成長LaBa2Cu3Oy薄膜の表面形状

Surface morphologies of LaBa2Cu3Oy films fabricated by Vapor-Liquid-Solid growth mode with different compositions of liquid phase


山垣 陵太, 一野 祐亮, 吉田 隆 (名大)


Abstract:LaBa2Cu3Oy超伝導体(LaBCO)は、他のREBa2Cu3Oy超伝導体(REBCO)の中でも最も高いTcを持つと期待されている。Tcを向上させることは、不可逆磁場の向上やTcと機器使用温度との温度差の拡大によるJcの向上に繋がるため、重要な意味を持つ。その一方で、LaBCOは、LaとBaのイオン半径が近いためLa3+イオンがBa2+サイトに容易に置換することが知られている。この原子置換により形成される固溶体はTcを低下させる大きな要因となりLaBCOの高Tc実現を困難としている。この固溶を抑制する手法の一つとしてVapor-Liquid-Solid(VLS)成長法がある。置換による固溶体の形成は、Laの濃度が高いほど起こりやすいが、VLS成長法では成長界面においてBa-Cu系の液相が存在するためLaの濃度を低くすることができ固溶体の形成を抑制できる。本研究では、VLS成長に用いる液相の組成がLaBCO薄膜の超伝導特性及び薄膜成長に与える影響について検討した。PLD-LaBCO薄膜とVLS-LaBCO膜の薄膜表面を比較すると、PLD膜では3次元核成長であったが、VLS膜ではステップ構造が観察され、2次元核成長を確認した。当日は超伝導特性についても報告する。