2段階のアニール処理を施した(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oy超伝導薄膜への重イオン照射による柱状欠陥の導入

Introduction of columnar defects by heavy ion irradiation in (Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oy superconducting thin film prepared by two step annealing


吉村 兆貢, 桑原 遼, 末吉 哲郎, 藤吉 孝則 (熊本大); 松本 明善, 北口 仁 (NIMS)


Abstract:Bi系高温超伝導体は,近年実用的な線材材料として注目されており,応用機器への実装に向けて様々に研究活動が行われている。しかし,Bi2223をはじめとするBi系超伝導体は,その生成メカニズムや超伝導電流経路など未だ不明な点が多く,また実用化のためには臨界電流密度Jcの更なる向上が必要となる。今回このBi2223に関する基礎研究として,Bi2223薄膜を作製し,薄膜に2段階のアニール処理を施し,超伝導特性の向上を図った。その結果,100K以上の臨界温度を持つBi,Pb2223薄膜の作製に成功し,これらのBi,Pb2223薄膜の輸送特性に対するアニール温度の効果について調べた。また,アニール処理を施した薄膜に重イオンの照射を行うことで,薄膜への柱状欠陥の導入に成功し,マッチング磁場付近でのピンニング性能の向上が確認された。