低電圧単一磁束量子回路によるビットシリアルマイクロプロセッサの動作実証

Demonstration of bit-serial microprocessors based on low-voltage rapid single-flux-quantum circuits


田中 雅光, 早川 雄飛, 高田 賢介, 藤巻 朗 (名大)


Abstract:低電圧単一磁束量子回路により、消費電力をサブミリワットに低減したマイクロプロセッサを35 GHzで動作させることに成功したので報告する。超伝導デバイスによる単一磁束量子回路を低電圧で動作させると、わずかにスイッチ速度が低下するものの、回路内で静的・動的に消費される電力を大幅に低減させることができ、結果として高いエネルギ効率を得ることが可能である。遅延時間と消費エネルギの間のトレードオフを詳細に調べた結果、電源電圧を従来の1/5である0.5 mVとすることで、もっとも小さなエネルギ・遅延積と、30 GHz以上の動作クロック周波数を得た。消費電力は0.23 mWであった。設計の工夫と作製プロセスの改善で、エネルギ・遅延積は、従来設計の1/15となり、半導体回路に対しては5〜6桁の優位性がある。多層構造の利用により回路面積は50%削減し、約4000個の素子を1.38 mm × 1.71 mmに集積しており、これまでに実証された複雑な単一磁束量子集積回路としてはもっとも高集積化を達成している。