Cu-Sn-Zn系ブロンズを母材としたNb3Sn多芯線材の組織と超伝導特性

Microstructure and superconductivity of Nb3Sn multifilamentary wire with Cu-Sn-Zn system bronze matrix


菱沼 良光 (NIFS); 菊池 章弘 (NIMS); 谷口 博康 (大阪合金); 杉本 昌弘, 高木 亮 (古河電工); 文珠 義之 (大阪合金); 竹内 孝夫 (NIMS); 三戸 利行 (NIFS); 太刀川 恭治 (NIMS)


Abstract:昨年度学会において太刀川らによって取扱い易いNb3Sn線材開発に向けて、Cu-Sn-Zn系ブロンズが提案され、拡散熱処理後の残留ZnによるNb3Sn線材の機械的特性の改善や、ZnによるNb3Sn層の生成促進等の効果が期待されている。我々は、種々の組成を持つCu-Sn-Zn三元系ブロンズ中に19本のNbを組み込んだ前駆体を作製し、通常の線材加工を経由してCu-Sn-Zn/Nb 多芯前駆体線材を作製した。
本報告では、熱処理温度700℃における種々の熱処理時間に伴うCu-Sn-Zn/Nb 多芯線材の微細組織や超伝導特性の変化について言及する。EPMAによる元素分布測定から、ブロンズ中の残留Zn量は熱処理時間に関係なくほぼ一定であることが分かった。また、ブロンズ中のSn 当量の増加に伴ってNb3Sn層厚が大きくなる傾向を示し、通常のブロンズ試料と比較して反応速度も速いことが分かった。一方、超伝導特性については、SQUIDを用いた臨界温度特性の評価を行った。いずれのCu-Sn-Znブロンズにおいても100時間熱処理で最も高いTcを示した。